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【赤 ちゃんモデル論】
 
 <このエッセイは、主に、自分の子供をモデルにしたい人に対して、書いています>

 子供をモデルにするというのは、どういう事なのか?  
 自分の子供は、可愛い・・・。これは、普通の親なら、絶対に思うことだと思います。 そして、声を掛けてくれる人、みんなが「マァ〜、かわいい赤ちゃんね!」と、褒めてくれるのですから、ますます「ウチの子は、やっぱ、超可愛い〜!!」 と、確信を深めることでしょう。
  
 そうです、自分の子供は、超可愛いのです。
 でも、モデルにするとなると、状況は、変ってきます。というのは、「モデルにする」というのは、「仕事」であり、「仕事」と呼ばれるからには、「お金を もらえる労働」なワケで、それは、単に親が自分の子供を「かわいい」と思うのとは、まったく違う世界のことになるからです。

  道行く人、近所の人、親戚、友達、みんな、タダだから、あなたの子供を「かわいい」と褒めてくれます。でも「100ドル払うなら、可愛いって言っていい よ」なんて条件をつけたら、何人の人が「お金を払ってまで、こどもを褒めてくれる」でしょうか?
 極端な話、子供をモデルにするというのは、そういうことです。
 その子供の持っている雰囲気なり、姿なり、モデル仕事の条件に合っていた場合、それに対して「報酬」が支払われるから、「仕事」なのです。「お金を払っ てまで、見せる素質がある子供」が、モデルになれるのです。

 つまり、タダで褒めてくれる周りの人の意見は、直接モデル仕事につながる意見には、なりえません。
 なので、子供をモデルにしようと活動を始めたら、まずたいていは、今まで経験したことの無い rejection に、親御さんたちはショックを受けるでしょう。
  と言うのも、オーディションで受かるのは、少なくとも、百人に一人、その前に、写真選考に何百人と候補がいるし、そのまた前には、写真選考に呼ばれるため のエージェント契約があり、このエージェントとの契約にこぎ着けるのが、また何百分の一という確率だというのですから、実際の「モデル仕事」までには、ク リアーしなくてはならないハードル、たくさんある訳です。
  それまでは、誰にも、子供に対してネガティブなコメントをされたコトのない「親」は、オーディションに受からない、希望のエージェンシーに入れないなど、 初めて経験する rejection に、かなりのショックを受けることでしょう。だって、誰もが「かわいい〜」って、褒めてくれていたのに、自分の子供が初めて、「受け入れられない状況」を 経験するのですから、親としては「そんなはずは・・・」「そんなバカな!」と、ぼう然とするかもしれません。

  私は、「モデル活動の始まりは、rejection の始まり」と言っても、過言ではないと思っています。 その分、それらのプロセスを経てゲットした仕事、子供の写真が雑誌やポスターになったり、テレビに出た時の喜びは大きいでしょうが、そこにたどり着くまで は、多くの親は、たくさんの rejection を経験しているのですよ。
 なので、オーディションなど、受からなくても、傷ついたり、むかついたり、ショックを受けたりしないように。
 本当に気軽に構えていないと、親の神経がすり減ってしまいます。
 それまで誰にも、Your child is not good for this. とか、Your child is not suitable for this. などと、ネガティブなことを言われた経験の無い親御さんたちにとって、オーディションに受からない現実など、とても厳しいと思いますが、子供のモデル活動 には、必ず付いてくる現実です。いちいちめげていたら、疲れちゃいますよ。
 そして、もし30回以上オーディションに行って、それでも受からなければ、その頃には、親御さんも、「ウチの子供には、向いていないかもしれな い・・・」と、思われるかもしれませんね。または、その前に、(オーディションとかに連れて行くコト自体に)疲れて、モデル活動、やめさせちゃうかもで す。
 皆さんが、そこまで疲れる前に、お子さんが活躍されることを心から願っていますが、「モデル活動の始まりは、rejection の始まり」という、私からのコメント、心のどこかにしまっておい欲しいと思います。 私自身は、もう娘が、オーディションに受からなくても、なんとも思わなくなりましたよ(笑)悟りをひらいたのかもしれません(爆)