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娘のヒーロー@now

 女の子っぽいコトが嫌いで、スカートは着ない、お人形遊びより、ロボットを組み立てる方が好き・・・そんな6歳の娘に、あるアンケートで質問をする機会 があった。 
 「あなたの将来の夢、なりたいものは、なんですか?」  
 娘は即答した。「お母さんみたいに、本を書いたり、歌を歌う人、あと、お料理が上手な人になりたい!」。

 これは、保育園の卒園式で、生徒たち一人一人が舞台に上がり、マイクに向かって「私が大人になったら、なりたいのは・・・」で娘が言ったのと、まったく 同じ答え (その時は、英語で@英語の保育園のため)。  
 あれから幼稚園を経て1年以上がたち、小学校に入っても、まだ娘にとって、私の仕事、私の姿は、自分の将来の夢なのか、と、嬉しいながらも、照れ臭かっ た。  
 そして、次の質問。「あなたのヒーロー、あこがれる人は、誰ですか?」  
 これにも、娘は即答した。笑いながら「わかってるでしょぉ〜〜! それは、お母さん!」と。  
  
 アバレンジャーだの、ゴレンジャーだの、アクション・ヒーロー大好きの娘のコトだから、彼女の答えは、てっきりTVで見るヒーローだと思っていたので、 この返事には、驚いた。  
 私が、娘のヒーローなのか・・・。  
 下の子供ができて、これがまた、アトピーやら喘息やらで、手がかかる男の子。ちょうど一歳を過ぎたのだけれど、いまだに夜中に何度も起きるので、睡眠不 足から、おのずと私の「キャズ・カワゾエ」としての仕事への情熱は衰え気味になっている。  
 どんなに寝てなくても、辛くても、「自分の子供の母」は、私以外の人が代われることではないから、やり通さなければならない。だから眠くても、起きる。 ご飯はもちろん作る、坊やのオムツは替える、娘のお弁当も作るし、毎日ある宿題も見る、などなど、頑張っているのだけれど、「母」ではない仕事人の、 「キャズ・カワゾエ」は、私の本音では、ちょっとお休みしたい・・・。  
 でも、毎日、手料理を作り、家族の面倒を見、その上で執筆仕事をする私が娘のヒーローであるのならば、私は「お母さん」でありつつ、これからもずっと 「キャズ・カワゾエ」としての仕事を続けなくちゃなんだろうなぁ・・・と、ちょっと遠い目をしながら思う。  
 
 そして、いつまで娘は、私をヒーローだと思ってくれるのだろう・・・、そんな今の状況が、ちょっと重荷だな、怠け者には、なれないじゃん・・・頑張り続 けなくちゃじゃない〜い・・・などと、ちょっと凹みがちな、溜め息まじりの思いを交錯させながら、ティーンエイジャーになれば、反抗期もあるだろう、親を 嫌いになる時もあるに違いない、だったら、今、自分のコトを崇拝してくれる娘を大切にし、もし10年後とかに「お母さんなんか、大っ嫌い!!!」と言われ たら、「あぁ、昔は良かったわねぇ〜」と、心の余裕にしようかなんて、先のことに思いを馳せているのでした。  
 今のところ、娘のヒーローの私は、彼女のイメージなどを壊さないように、「母」として、仕事人「キャズ・カワゾエ」として、出来る限り頑張っていこうと 決意し、睡眠不足の体にムチ打って、45歳の子育て(下の赤ちゃんのコトね)のシビアな現実と戦いながら、つくづく、母親というものは強く、たくましいも のだと思っております。